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意志のない、人形になる。
8.2 / 2004.11.16
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「もしもし」 電話口から聞こえてきた、数ヶ月ぶりのあの人の声を、あたしは何度も噛み砕くように繰り返す(そう、それはまるで草食動物が反芻するように) どうして連絡してくれなかったの。そう問いつめることは簡単で、だけどあたしはそんなことしない。あたしの傍にあの人がいてくれないのならば、あたしはずっと待っていよう。あの人がいつ帰ってきてもいいように。いつ戻ってきてもいいように。 だけど知ってる。あたしは知ってる。 この行為が、痛みしかもたらさないことだって。甘い蜜に隠されて、本当は棘がたくさんあるんだってこと。あの人の笑顔は、いつだって凶器だ。
8.1 / 2004.11.14
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どうしようもないあたしが、どうしようもないあなたに恋をした。 これはただの寓話。お姫様も王子様もいない。ただ、そこにあるリアルなお話。馬鹿な女と馬鹿な男の物語。憧れるのはフェアリーテール? そんなんじゃない。漆喰の肌も、薔薇のような唇も、漆黒の髪も持っちゃいないけど。 けれど一番、リアルで残酷。ねぇ、あなたも好きでしょう? どうしようもないあたしが、どうしようもないあなたに恋をした。ただ、それだけの話。
8.0 / 2004.11.14
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