死んでしまっても良い、ということは、勇敢なことじゃないわ。
 生きることは、死ぬことよりも、辛いことでしょう?

7.9 / 2004.10.24

 結局、人が最期に頼るのは、神様でしかない。

7.8 / 2004.10.24

 Yはあたしの中で、できるだけ長く感じようと動きを止めた。見あげると彼は、右の口角をあげて、目を細めた。「動いてないのに、感じてるの?」 意地悪な顔して、だけどあたしにはわかってる。本当はあなたの方が、感じてること。本当は快楽におぼれたくて、仕方がないこと。余裕なふりなんて、やめちゃえば良いのに。辛いのは、あなたでしょ?
 あたしは少し苦しそうな顔をして、力一杯彼を押した。ふいをつかれて、彼は慌ててあたしを見あげる。「……こうしてあなたを見下ろすのも、悪くないわ」

7.7 / 2004.10.22

 どこからどこまでが嘘なのか、計り損ねただけの話。

7.6 / 2004.10.22

 強風に煽られて、前を向けない。

7.5 / 2004.10.20

 例え忘れてしまう夢だとしても。例え覚めてしまう想いだとしても。

7.4 / 2004.10.20

 あなたは自信満々にあたしのことをわかった風な口をきく。ええ。そうね。あたしは頷いて、あなたは満足げに煙草に火を付ける。なぜいつもメンソールの香りなの? あなたは少しだけ意外そうな顔をして、「だって君は好きだろう?」なんて聞くのよ。
 馬鹿な男。違う。利口すぎる? どちらにしても、あなたはあたしの事を何も知らない。目の前でただ笑っているだけで、本当はあなたなど見ていないことも知らない。

 賢いだけの男なんて、つまらないだけだわ。

7.3 / 2004.10.02

 強制的に目の奧でスパークする。記憶。断片。思い出? いいえ。

 わざと暗くした部屋で、蝋燭に火を灯して、ねぇ、二人でハロウィンごっこ。ねぇ、素敵じゃない?

7.2 / 2004.10.02

「生まれ変わるなら、赤い薔薇の花が良いわ」
「なぜ?」
「だって棘があるじゃない」
「愛でられたいんじゃないのかい?」
「違うわ。ただ愛でられるだけなんてつまらない」
「なぜ?」
「だって可愛いだけの女なんて、つまらないでしょう」

7.1 / 2004.10.02

 ねぇ、寒い。ここはとっても寒いの。ねぇ、とっても寒いのよ、ここは。

 ねぇ。
 あなたに逢いたくて、たまらない。

7.0 / 2004.09.27

 朝目覚めてコーヒーを飲む。昔は苦くて嫌いだったのにな。そう呟くと、あの人はぎゅっとあたしを抱きしめる。
 「見たかったな、昔の君を」そんな苦しくなること、言わないで。ぽつりとこぼす。「ごめんね」言いながらも、あなたは全くそんなこと思っていないかのように、またぎゅっとあたしと抱きしめる。ねぇ、あなたの切なさを、あたしが受け入れることができないことが、あたしはとても苦しい。あなたの欲望ならば、受け入れられるのに。無力。だけど、無力だから自由。
 あたしは、自由。

6.9 / 2004.09.27

 あたしを抱きしめながら、Kさんは何度も「愛してる」と呟く。いつからそんなおままごとになってしまったんだろう。Kさんが何度もあたしを突き上げて、その度に「愛してる」と呟く(それはきっと、あたしじゃなくて、あたしという身体だと思う)

 Kさんの身体は、もう張りなど無くて、それが少しだけ、あたしには悲しい。

6.8 / 2004.09.27

 暗闇の中。そこだけが圧倒的に力を持ってる。光る画面。

 チカチカと映し出される文字は、ただの記号だ。だってなんの感情も読みとれない。何十回となく繰り返された、言葉の羅列を、あなたは自分の言葉だと思って得意げに振りかざす。

6.7 / 2004.09.27

 まるであたしとあなたを遮断するかのような、雨。

6.6 / 2004.09.27

 あなたの腕が、あたしを抱くためにあるわけじゃないって、あたしはずっと知ってる。

6.5 / 2004.09.19

 あなたはあたしを抱きながら、聞こえないほど小さい声で、何かを呟いた。ねぇ。あなたは今、あたしを見てはいないのね。そう返すと、あなたの動きは止まって、あたしの内側がくすぶる。あなたは否定しない。あたしも、聞かない。
 あなたが動き始めて、あたしのくすぶっていた内側も火がついて、その後はもう、何も考えられない。違う。考えたくない。あたしも、あなたも。
 どうしようもない事実が、のしかかってる。違う方向を向いたあなたの心を、独り占めしたいだなんて、そんなこと。言えない。言えるわけがない。違う。あたしはきっと、怖いだけだ。

6.4 / 2004.09.19

 一人きりのシャワー室は、とても安心する。特に誰かに抱かれたあとは。

 執拗にねだる男を無視して、シャワー室の鍵をかけた。しばらくがちゃがちゃドアノブが回される音がしていたけれど、シャワーの音で聞こえなくなった。どうして男って、一緒に入りたがるのだろう。気持ち悪い。自分の汗も、誰かの汗も、全部流してしまいたいのに。……気持ち悪い。

 排水溝に流れるのは、残骸だけでたくさんだ。

6.3 / 2004.09.19

 「どうして逢ってくれないの」そんなこと、聞かないで欲しい。逢ってしまえばきっと、あたしはあなたに支えて欲しくなって、あなたはあたしの身体を目指すのでしょう。
 ベクトルの合わない逢瀬なんて、虚しいだけでしょう。

6.2 / 2004.09.18

 あなたの言葉は、いつもあたしの心に水のように入ってくるから、心地よすぎて委ねたくなる。よりかかりたくなる。包まれていたくなる。

6.1 / 2004.09.18



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